職員研修「事例発表会」に参加して

令和7年5月30日、ゆめ工房多目的室において職員研修「事例発表会」が行われました。当日はあいにくの雨模様でしたが、加藤理事長をはじめとして社会福祉法人さくら会の職員ほぼ全員が参加しました。また、スーパーバイザーとして伊藤先生、矢野監事をお招きし、各事例の講評及び具体的な助言をしていただきました。
 
私は今まで、様々な施設や作業所等で勤務してきました。「職員研修」というと一般的・抽象的なスキル向上を目的とするものが多く、現場で具体化するには時間がかかるものが多い印象がありました。また、勤務先によっては常勤以上の職員を対象としており、非常勤職員にはなかなか研修の機会がありませんでした。今回の職員研修「事例発表会」では職員全員が対象となっており、また、現場の事例に対し、スーパーバイザーから即、フィードバックされるという「生きた」「ライブ」感のある研修となり、大いに盛り上がりました。
 事例発表ではフラワー工房、ゆめ工房の二ヶ所の事業所と、グループホームのそれぞれの支援内容及びその経過についての発表が行われました。各施設ともに、利用者の個性や特徴を考え、創意工夫をした支援に取り組んでいる様子が伺えました。
 
その中で、私が特に印象深かったのは「出来ることを少しずつ増やすためには」というグループホームの発表でした。金銭管理が苦手な利用者に、まず、何が分からないのかを分析し、課題を細分化し、スモールステップを重ねていくことで、本人の達成感や、やる気など自尊感情を高めていくという取り組みでした。その際、職員はどんな課題にも本人が楽しめるように、決して否定せず、とにかく褒める、認めることを徹底したそうです。
 相手を変えようとするのではなく、まず職員自身が見方や考え方といった対応を変えていくことで利用者との関係性に変化が生じ、結果として利用者本人の行動変化へと繋がっていくという事例だったと思います。「職員と利用者との関係性」が支援にとっていかに重要かが分かる取り組みだと感じました。
 
対人援助職は常に不安と迷いの中にあります。「正解」が分からないこそ、「本当にこれでよかったのか?」「もっとこうできたのでは?」という悩みを抱えています。このような事例発表会に参加することで、援助職もより自分を俯瞰し、自身の感情と距離を取りやすくなるのではないかと感じました。
 また、事務職として働く私にとっても、各事業所の実践的な取り組みを知ることで、ともすれば無機質な数字や勘定科目の奥にある現場の職員の創意工夫や、苦労の一旦をうかがい知ることができました。また次回の開催を楽しみにしています。

衛藤 由麻(事務局職員)

 



2025年06月06日